2009年 04月 29日
ゲド戦記 読了

「ゲド戦記」全6巻を読み終わりました。
「ゲド戦記外伝」は物語のヒントになる内容なので先に読み
この「ゲド戦記Ⅴ アースシーの風」が
長い長い物語の終わりとなりました。
物語の舞台となる“アースシー”という多島海世界(アーキペラゴ)は
架空の世界であり、登場するのも魔法使いや竜といった架空の
存在であるはずなのに、ここに描かれているのは、今まさに
私たちが生きて暮らしているこの世界なのではないかと感じながら
読んでいました。
「今、読むべき本」と言われた理由がわかったような気がします。
最初は無知な少年だったゲドが、魔法使いとして学んで成長し、アースシーに平和をもたらす
までの存在となるが、やがて年老い1人の人間として故郷の島へ帰る・・・
その過程の中でも、最終的にも、ゲドが手にしたものは勝利でも敗北でもない・・・・そんなお話。
けれども、ゲドと、オジオン、テナー、レバンネン、そしてテハヌーといった存在との関係に
物語を通して私たちが見るものは、とても大きくて、とてもとても大切なことです。
人と人が本当に理解しあう、ということは、夜空の星を見上げるようなものなのかも知れません。
離れていても同じ空を見ることができる、と同時に、隣で見上げても、その人と“全く”同じに
見えているわけではないことを知っていて、お互いに学びあうことができる。
忘れてはいけないのは、見方は自由であること。そして夜空の星は誰のモノでもないということ。
「ゲド戦記」を読み終わって私が受け取ったのは、そういう感覚でした。

一気に集中して読むには、膨大すぎます。
私もずいぶん寄り道しました。
そういう読み方でいいと思います。
おもしろくてぐいぐい引き込まれることもあれば
だらだら続くこの描写は、果たして必要なのかと
思うこともありました。
読み終えた今では、そのひとつひとつが
どれも無駄ではなかったような気がします。
心に残った言葉もたくさんありました。
あまりにたくさんあったのと、
読む人が、自分で見つけたほうがいいような
気がするので、ここで言葉だけを取り上げる
のは止めておきます。
そんな言葉に出会ったときの
ハッとする感覚をぜひ・・・
ひとつだけ
「ゲド戦記Ⅰ 影との戦い」 はじまりの言葉です
→
今すぐでなくて、何年かたってふと思い出した時でもいい・・・
この物語の扉を開くきっかけになってくれたら、こんなにうれしいことはありません

私もいつかまた、もう一度最初から読み直すでしょう

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by ungalmatsu
| 2009-04-29 22:09
| 本を読む