2009年 01月 11日
イリュージョン
「やあ、君がなぜか寂しそうに見えたんだよ」
すると彼は柔らかい声で答えた。
「君だってそう言えばそう見えるぜ」
「じゃまかな?じゃまなら消えるけど」
彼は、少し笑って言った。
「いや、待ってたのさ、君をね」
古い複葉機で町から町へと移動し、10分3ドルの
遊覧飛行で生計を立てているリチャードと、
同業者で、かつては話題の救世主だった
ドンことドナルド・シモダの出会いの場面。
「イリュージョン」
リチャード・バック / 村上龍・訳
この本を最初に読んだのは、もう18年も前らしい。
その後何度か読み返してはいて、今またひょんなつながりから一昨日引っ張り出してきて
もう一度読んでみたのだけれど、今までわかったような気になっていたのは
それこそ“イリュージョン”(錯覚)だったのかしら? と、思ってしまった。
リチャード・バックといえば「かもめのジョナサン」のほうが有名だと思うけど
私は読んだことが、ない。たぶんない、と思う(苦笑)
(それにしても・・・・これが村上龍訳だということに、今になって気付くとは・・・
お前の目は節穴か?!)
リチャードはおかしなおかしなドンから救世主になる方法を教えてもらう事になる。
そのテキストが『救世主入門~三歩先を行く精神が心がけるべきこと~』(笑)
それがどんなものか知りたければ、どうぞこの本を手に取ってみてくだされ(^^;
けれど、ドン曰く
いや、こんな仰々しい入門書でなくてもそれはできるんだ。聖書、仏典、そんなものである必要はない。スリラー小説、ラブレターの書き方の練習帳、何年か前の新聞、ギターの教則本、やったことない?こうするんだ、頭の中に妄想の渦巻きを起こす、“俺は自殺すべきかそうでないか”といったようなことを思い浮かべて、何でもいい手近にある本を開くのさ、精神を集中してそこに書いてあることを読むんだ。そうすると、ギターの教則本が、自殺に関する答えを出してくれる。
うんうん、やっぱりそうなんだ・・・
この「イリュージョン」は2006年に新訳が出ていて、村上龍訳とは全く印象が違うらしい。
今日行った本屋では見つからず・・・けど、また読むべき時に見つけられるだろう。
真の自由とは何か? それを知りたい人に、今なら自信を持っておススメできる1冊です(^^)
「いや、待ってたのさ、君をね」
それを聞いて僕も微笑みを返した。
「そうかい、遅くなってごめんよ」
by ungalmatsu
| 2009-01-11 00:16
| 本を読む