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『小確幸』探求の日々

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毎日なんかいいこと見つけよう!大好きな「押尾コータロー」さんの話題を中心に・・・ほとんど休眠中の気まぐれブログです。悪しからず。

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今年に入って、おもしろい本に次々出会えています。

さだまさし 『解夏』
三浦しをん 『あやつられ文楽鑑賞』
恩田陸 『月の裏側』
重松清 『流星ワゴン』
荻原浩 『オイアウエ漂流記』
三浦しをん 『きみはポラリス』
越谷オサム 『陽だまりの彼女』
おっと、忘れちゃいけない(笑)秘密結社 鷹の爪
『竜馬がゆく』も、全8巻ようやく読了。
そしてまた懲りずに次の長編小説に手を付け・・・

うむ、良い感じ良い感じ(^^)



そんな中、すごい本に出会ってしまいました。


沢木耕太郎  『凍』


ヒマラヤの難峰・ギャチュンカンに挑んだクライマー山野井泰史と、
その妻妙子(彼女もクライマー)が成し遂げたことの記録。ノンフィクション。


ご本人による記録『垂直の記憶』も気になるところです。
けれども、登山の知識のない者にとっては、事細かな説明があってこそ想像できる世界でもあります。
その上で、この本に描かれているのは、彼らの生き様、姿、そのもの。
ものすごい臨場感。ものすごい緊迫感。
登山の経験もない、ヒマラヤの山々を実際に見たこともない、
それなのに読んでいるだけで、自分がその経験をしているかのようでした。
完全なる無音、完全なる闇、雪崩に耐えながら垂直の氷の壁に背中を押しつけて過ごす夜・・・
とにかく沢木さんの描き方が素晴らしいです。

彼らは、誰かのため、何かのためには登りません。
彼らの姿から、何よりも強く感じるのは「自由」です。
そこには“しない”「自由」もあります。

「自由」すなわち「自らに由る」とはどういうことなのか?

認められることを必要とせず、すべて自分で決断を下す。
その時、自分でできるギリギリのところを、個々に選択する。
いつも冷静で、極限状態でも決してパニックに陥らない。
反対に、山に登る喜びでさえ、自分たちのなかで完結しているのです。


黙っていることが難しい時代です。
大切にしているもののためには黙っていたほうがよい時でも、
ツールが溢れている今、ついつい余計なことまでしゃべりがちになる・・・
それでも必要以上に語らない、その姿勢にはとても共感できます。

山を抜きにしても、自分の人生をどこからどういう風に捉えるか、その立ち位置だったり、
こんな風にお互いを認めあえたらいいな、という絆だったり
学ぶべきことが詰まっていました。


私はこの本を、この先何度も何度も読み返すことでしょう。 
彼らのような山登りがしたいとまでは思わないけれど、
いつかその山々をこの目で見てみたいという思いは強くなるばかり・・・

えらい本に出会ってしまったな。
by ungalmatsu | 2012-02-26 18:05 | 本を読む