『小確幸』探求の日々

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毎日なんかいいこと見つけよう!大好きな「押尾コータロー」さんの話題を中心に・・・ほとんど休眠中の気まぐれブログです。悪しからず。

困るんだよねぇ、村上さん

1か月ぶりの更新がボヤキ(笑)

ほんと、困るんだよねぇ、村上さん。
人が長編と格闘してる時にこういうおもろい本を出されると・・・

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村上春樹 『雑文集』
       (新潮社)


1979~2010
未収録の作品、未発表の文章を
村上春樹がセレクトした69編。
ジャンルが多岐に渡っているから
あえてそのまま『雑文集』というタイトルだけど
収められている文章は、村上ファンにとっちゃ
「こんなものも、うわ~こんなのも、
えぇ?!こんなのも?!」って感じで
村上さん自身の、“お正月の福袋を開ける
みたいな感じで読んでいただければ”
って表現そのもの。


福袋の中身はと言うと・・・
 序文・解説など
 あいさつ・メッセージなど
 音楽について
 『アンダーグラウンド』をめぐって
 翻訳すること、翻訳されること
 人物について
 目にしたこと、心に思ったこと
 質問とその回答
 短いフィクション
 小説を書くということ

それぞれの文章に、いつ頃どういう経緯で書いたものか、
(中にはそれがまったく思い出せないってのもあるけど)村上さんの解説付きで、
それがまたおもしろい。
賞を取った時の挨拶なんか特に、“だいたいにおいて素直じゃない性格”がよく表れています。

読み応えがあったのは、2009年にエルサレム賞を受賞したときの挨拶。
ニュースでも「壁と卵」の部分(だけ)が大きく取り上げられた、あれです。
当たり前なんだけど、実際のスピーチはもっともっと長くて
あの時、どういう想いで何のために村上さんが現地へ行ってスピーチを行ったのか、
ものすごく心が伝わってくるメッセージでした。

  「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、
   私は常に卵の側ち立ちます。」

全体を通して読むと、この言葉が単にイスラエル政府を非難したものでなないことがわかります。
壁=システムにはない生きた魂を、卵である我々一人一人は手に取ることができる・・・
小説のすべての読者に向けた村上さんの個人的なメッセージです。
この本が出るまで、スピーチ全文を知ることはできなかったのだからしょうがないのだけれど
何にせよその一部だけを取り上げて云々、というのはやはり危険だな、と
反省を込めて思った次第です、はい。

ある物語を読んで、「これはまるで自分のことだ。なぜ作者は私のことをこんなに良く
分かるのだろう?」と思ったり、自分とは違うにしろものすごく共感できたり、というのは
その物語を自分中に有効に取り入れることができたからだ、と村上さんは言います。
だから物語の行方はその時読者が決めれば良いのだ、と。
でも、いくら本の中に入り込んでいたとしても我々はいつか本を閉じて現実に戻ってくるし
いくつもの異なった物語を通過してきた人間には、フィクションと実際の現実との間に
引かれている一線を自然に見つけ出すことができる。
けれども物語慣れしていない人間が、入り込んだ先が虚構であることに気づかず
帰り道もわからなくなったら?
そんな怖さも村上さんは教えてくれます。
ある宗教にのめり込んでいた人が、なぜか『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』だけは
捨てられずに荷物の底に隠し持っていて(もちろん見つかれば没収される)
それだけを頼りにその宗教から抜け出せたそう・・・

日本人としてはうらやましいことに、海外の読者には割といろんな質問にも答えています。
そこから察するに、村上さんの描く世界の全体像をよりはっきり見渡すために
読んで欲しいと思っている長編小説は、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』
そして『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』のようですね。
『1Q84』はBOOK4が出る可能性がゼロではないと考えて、今の時点では“納得”です。

あとは『夜のくもざる』に収録されなかったあまりにも意味のない短編もあり
(私はこういうの大好きなんだけど(笑))
大きなおまけとして、村上さんという人を良く知る、安西水丸さんと和田誠さんとの対談もあり。

できれば村上ワールドへの入り口は小説であって欲しいと思っていたけど
(まぁ、最近まではほとんどそれしかなかったわけだけど)
昨年の『「考える人』ロングインタビューや、
インタビュー集『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』、
そして今回のこの雑文集を読んでみて
これが入り口ってのもアリなのかも知れないと思い始めました。

だって、めっちゃおもしろい(^^)
ボヤきつつも、もちろん顔はニヤけてますから~
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Commented by k-ham at 2011-02-28 06:45 x
おひさしぶりです~
私も、これ、新聞の書籍欄で見て気になってました!
「村上春樹の文章が苦手な人にもおススメ」とかなんとか書いてありました(笑)
エルサレムでのスピーチに興味があったんだけど、うんぎゃるさんの
↑話で、やはり読むべきだと思ってます。
まずは、本屋へ・・・かな
Commented by RAN at 2011-02-28 11:52 x
おお~、久しぶりに更新されてる♪♪
待ってましたんやで!!

で・・・村上モノ(?)はことごとく途中挫折してる(^^;)
(あ、待て、「ロング・グッドバイ」は読めた!
「羊」シリーズも何冊かは読んだ!
でも、そのほかは・・・(涙))
私にも、これなら読めそうな気がする。

私も、考える前に先ずは本屋へ・・・ですね(^^;)
Commented by ungalmatsu at 2011-03-02 20:40
★k-hamさんへ
村上春樹の文章が苦手な人は、きっとこれも読まないでしょう(笑)
とは思いつつ「あの小説書いてるのはこういう人なんだ」ってわかると
確かにちょっとはとっつきやすくなるかも・・・・?
ほんとにいろんなモノが入っていて楽しめます。
エルサレム賞のスピーチは絶対読む価値あり!
本屋へ行って立ち読みでもいいから(←良かないけど)読んでみて!!
マニアックな音楽の話には、ファンと言えどもついて行けないけど
そりゃ某ギタリストの電化製品ネタやアニメネタについて行けないのと
同じだわよね(^^;
Commented by ungalmatsu at 2011-03-02 20:48
★RANさんへ
長いこと留守にしててスンマセン(苦笑)
iPod買って以来、PC立ちあげることが少なくなりまして(^^;

村上訳の「ロング・グッドバイ」はおもしろかったですねぇ。
ぜひ「グレート・ギャツビー」も読んでいただきたい♪
この『雑文集』には、“翻訳”という趣味(らしい)についてもいろいろ書いてあるので
そういうとこから入っていただくのも良いかも知れません。
とりあえず本屋へ行って、手にとって表紙の
和田誠さんと安西水丸さん2人によるイラストを見てもらったら欲しくなるかも?!
単行本だけれどもハードカバーではない、紙の質感も何とも言えず良いです(^^)
by ungalmatsu | 2011-02-27 21:35 | 本を読む | Comments(4)