『小確幸』探求の日々

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毎日なんかいいこと見つけよう!大好きな「押尾コータロー」さんの話題を中心に・・・ほとんど休眠中の気まぐれブログです。悪しからず。

生きるとは、自分の物語をつくること

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それにしても
なんというタイムリーなタイトル!

「生きるとは、自分の物語をつくること」
    小川洋子、河合隼雄


「河合先生が倒れられる直前に
奇跡のように実現した貴重な最後の
対話」(帯より)です。


ちゃんと読めてないんじゃないかと思って読み返したくらい、
あんまりにもすいすい読めてしまいました。






1回目の対談「魂のあるところ」は、小川さんの『博士の愛した数式』について・・・

これを読むために、映画を観て、原作をもう一度も読みました。

博士とルートの友情は、障害を持つ老人と、たった10歳の子供が理屈抜きで本能的に
お互いが寄り添うのだけれど、「人を助けに行く人は強い人が多くて、使命感に燃えてたり
するが、助けられるほうはたまったもんじゃない。そういう時にスッと相手と同じ力になるのが
専門的に訓練されたカウンセラー」なのだという言葉に惹かれました。
この感覚、わかるんです。それはカウンセリングで体験したというわけではなくて、
だからここで言われているほど深くはないのだろうけど、スッと相手と同じ力になった
瞬間を、助ける(というほど大げさではないにしても)方としても、助けられる方としても、
確かに感じたことがあります。

別のところで、河合さんは
「心がそこにいて黙っていられるのだったら、なんぼ黙っていてもいいです。」
とも言われてました。
これはちょっと目からウロコの言葉かも・・・

もうひとつ、「ルート」という名前について、あらゆる数字を包み込む平方根(√ )であると同時に
道、すなわちrouteを開く存在でもある、という河合さんの解釈(=ダジャレ)がおもしろい!

この章で印象的だったのは、以下のふたつの対話。

河合「分けられないものを分けてしまうと、何か大事なものを飛ばしてしまうことになる。
   その一番大事なものが魂だ、というのが僕の定義なんです。わけられないものを明確に
   分けた途端に消えるものを魂というと。善とか悪とかでもそうです。だから、魂の観点から
   ものを見るというのは、そういう区別を全部、一遍、ご破算にして見ることなんです。
   障害のある人とない人、男と女、そういう区別を全部消して見る。」


河合「やさしさの根本は死ぬ自覚だと書いてます。やっぱりお互い死んでゆくということが
    分かってたら、大分違います。まあ大体忘れてるんですよ、みんなね。」
小川「あなたも死ぬ、私も死ぬ、ということを日々共有していられれば、お互いが尊重しあえる。
    相手のマイナス面を含めて受け入れられる。」
河合「それで、そういう観点から見たら、80分も80年も変わらない。」
小川「永遠を感じさせる、至福の時というのは、そうして実現するんですね。」
河合「そのひとときが永遠につながる時間なんです。」






2回目の対談「生きるとは、自分の物語をつくること」は、カウンセリングについて・・・

「物語は現実の解釈である」という鴻上さんの言葉を、小川さんの言葉に変えると
「人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、
それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、
その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです。」

ふむふむ、こちらのほうがわかりやすい。

そして、小川さんの考える臨床心理のお仕事は、
「自分なりの物語を作れない人を、つくれる様に手助けすること」
河合さん自身も、「来られた人が自分の物語を発見し、自分の物語を生きていけるような
「場」を提供している、という気持ちがものすごく強いです。」と言われています。

この章で、特に印象的だったのは、以下のふたつの対話。


小川「(自殺をほのめかす人に)「もうちょっと考えなさい」という一言も、
    たくさんの中から選ばれた言葉か、唯一それしか持っていない人の言葉かで、
    受け止められ方が違ってくるということですね。」
河合「それしかないというのは駄目なんです。そして、それはもう、すごく微妙なことなんです。」



河合「人間は矛盾しているから生きている。(中略)僕の言い方だと、それが『個性』です。
   『その矛盾を私はこう生きました』というところに、個性が光るんじゃないかと思っているん
   です。」
小川「矛盾との折り合いのつけ方にこそ、その人の個性が発揮される。」
河合「そしてその時には、自然科学じゃなくて、物語だとしか言いようがない。」
小川「そこで個人を支えるのが物語なんですね。」




そして、実現しなかった3回目の対話のかわりに、小川さんの「少し長すぎるあとがき」が
収められています。カウンセラーとしての河合さんと、作家としての小川さんに不思議なくらい
共通するところがあって、この続きがあったなら・・・・と思わずにはいられないけれども、
未完成ながら、この対話が形になって届けられた事に感謝せずにはいられない・・・
そんな優しい本でした。

太陽から、ここまで光が届くのに8分かかるけれども、僕が太陽に「お願いします」言うたら
パッと一瞬にして届く。だから「望み」は「光」より速い。


そんなダジャレを新幹線のホームで言っちゃう河合先生。
(巻末の写真の笑顔のステキなこと!)
これも「オイラーの公式」ならぬ、「おいらの公式」の1つですね。

そうそう、「やさしさの根本は死ぬ自覚」というところで気付いた事。
これって、『RENT』のテーマ「no day but today」、
そしてつまりは、「today 4 U」ってことでしょう?
ほら、ここにも新しいroute発見です(^^)
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by ungalmatsu | 2009-03-29 20:59 | 本を読む